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ベルリン(2) 暗黒の時代

チェコの作家ミラン・クンデラの小説「存在の耐えられない軽さ」
の中に、あるドイツ語の諺が書いてあります。
  Einmal ist keinmal (英語でいうと Once is never.)
  一度は数のうちに入らない
一度だけ起こることは一度も起こらなかったようなものだという意味です。

もしも画家志願の青年ヒトラーが芸大に受かったら、
あの戦争は起きなかったかもしれません。
もしも連合軍の進行を遅らせたバルジの戦いがなければ、
ソ連が先にベルリンを占領できず、
ベルリンも東西二つに分断されずに済んだかもしれません。

しかし歴史にはもしもはありません。
歴史は人生と同じく、一度だけのものです。 
ヒトラーのドイツは人類の歴史という大河の中の一滴でしかありませんが、
我々はそこから何かを学べば、その存在も軽いものではなくなり、
ちゃんと重さのあるものになると思います。


驚くことに訪れたほとんどのドイツの町には、
かつてその町に住んでいたユダヤ人犠牲者の慰霊碑があります。
もちろんここベルリンにも数ヶ所あって、
一番有名なのはブランデンブルク門南側のユダヤ人記念碑(地図2の④)でしょう。
約2万m2の広々としたベルリン中心の一等地に
2711基の様々な高さの石碑が並んでいます。
入口から奥に向かってどんどん高くなっていくから、
気持ちも吸い込まれて行くように、また一つの歴史の重さを感じさせられました。
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チェックポイントチャーリーの近くに
ユダヤ博物館(地図1の⑥)とゲシュタボ本部の跡地(地図1の⑦)があります。
観光客と見学する学生、たくさんの人が訪れていました。
残念なことに撮った写真は一枚も残っていません。

ユダヤ博物館
ベルリンに住むユダヤ人の生活と風習、
もちろんヒトラーに迫害された歴史も詳しく展示されています。
また、博物館の建物も現代建築として一見する価値があります。
http://www.jmberlin.de/main/EN/homepage-EN.php

テロのトポグラフィー / ゲシュタボ本部の跡地
ナチス時代に親衛隊と秘密警察ゲシュタボの本部があった場所
ベルリンの壁の一部と新築の博物館を利用して、
ナチスの恐怖政治に関する膨大な資料が展示されています。
http://www.topographie.de/en/


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連邦議会議事堂の左手前にある
ナチスの犠牲になった
ワイマール共和国の政治家96人の石碑


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戦争の悲惨さを忘れさせないために、
ベルリン動物園がある繁華街に聳え立つカイザーヴィルヘルム教会(地図1の⑧)
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ただの廃墟ではなく、礼拝堂と時計台として現在も現役です。


1939年3月、ナチスに煽動された学生による焚書事件はベーベル広場で起きました。
現在広場の中央に事件を忘れないように作られたのは地中の図書館(地図2の⑦)
空の本棚はナチスの支配下で生じた精神的な空白を表現しています。
パネルに
  「本を焼く者は、ついに己を焼いてしまうものである」と
刻んでいます。
そういえば、始皇帝の焚書坑儒と毛沢東の文化大革命も同じでしたね。
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戦況が悪化する中、ヒトラーを暗殺してクーデターを起こし、
米英と和平交渉をする以外ソ連からドイツを守る道はないと
悟ったグループが国防軍の中にいました。
彼らが計画した作戦のコードネームは「ワルキューレ」 。
1944年7月20日、伯爵シュタウフェンベルク大佐が総統大本営「狼の巣」において
時限爆弾でヒトラーを暗殺する計画を実行しましたが、
ヒトラーは軽傷を負っただけで、クーデターは失敗。
21日深夜シュタウフェンベルクは銃殺されました。
現在、伯爵が銃殺された旧国防省司令部の中庭にモニュメントが建てられています。
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20140720P1010364.jpg← 通りの名前も伯爵の名に変わりました。

ちなみに、トムクルーズ主演の映画「ワルキューレ」を見ましたが、あれはイマイチでした。



ところでこのクーデターにも数々の「もしも」がありました。
伯爵は当初用意した2つの爆弾を全部使えたら...
その日は涼しくて、会議室の窓が全部閉まっていたら...
爆発の直前、爆弾が入った鞄がデスクの下に退かされなかったら...
これらの「もしも」が一つでも現実となっていたら
ベルリンは違う道を歩んでいたかもしれません。

Map_Berlin-2.jpg
地図1 ベルリン
Map_Berlin-3.jpg
地図2 ブランデンブルク門周辺


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コメント

No title

ボクとも仲良しのサティの従妹は日本人とドイツ人のハーフでして,両方のいいとこどりしたような超美形.その彼女が陽気なイタリア人と結婚したので,できた子たちは,日独伊の混血です.…いや,それだけなんですけど(;^_^A

今回も勉強になりました.ナチスの犠牲になった先人のためにも,今度はイスラエル政府が一般人を巻き込む戦闘を早くやめてほしいです.

No title

超足早の解説でしたが
歴史はおもしろいですね
「もしも」は全ての出来事に当てはまるものの
過去は過去として 変えることはできないのです
自分の過去でさえ 変えられないのですから
でも過去を生かして
今から変える努力は必要ですね

伯爵シュタウフェンベルク大佐

有難う御座いました、[映画同感です]、[駄作でした]、此の国は日本と違いますね、素晴らしい物を有難う御座いました。

♪もしかしてだけどー-

もしかして・・・歴史研究家?
「存在の耐えられない軽さ」映画で見ましたが、ようわかりませんでした。
自分のその軽さに耐えられない。やはりエロに生きる!
「ワルキューレ」もトム・クルーズ目当てに見ましたが、イマイチでしたね。娯楽性重視でした。やっぱ、AV見るか?

KAZUさんのコメにティーガー戦車がありました。
私はタイガー戦車と思っていましたので、言い方で感じ方も異なるなあと痛感。
子供の頃、プラモデルで作ったことを思い出しました。

あさて、今日は「ゴジラ」封切りで見てきます。
1作目を小1のころ見て以来のゴジラファンです。
前回のハリウッド版はガッカリしたので、今回は?

Re: No title

siennaさん
それだけですか?ガクン(爆)

日独伊、スーパー美形の三国同盟に会ってみたいですね。
ある意味、今回の記事にぴったりのコメントを頂きました(笑)

Re: No title

wakaさん

おっしゃるとおり、
私も人生には無駄な経験がないと信じています。
過去は変えられませんが、
過去から学ぶことができます。

最近の映画「The time」はお勧めです。
機会がありましたら、ぜひ。

Re: 伯爵シュタウフェンベルク大佐

Tonyさん、
「ワルキューレ」は全然だめですね。
ハリウッドじゃなくて、やはりドイツ人にやらせたほうが・・・
例えば「Uボート」のペーターゼン監督だったら、
もっと深みのある作品に仕上げられたかもしれません。

Re: ♪もしかしてだけどー-

ばんぶうさん
歴史研究家ではないですよ(笑)
ただ子供のごろから飛行機と戦車が好きで、歴史はその延長線で・・・

ばんぶうさんもプラモ作ってらっしゃったんですか?
私はYUMIを巻き込んで、今もたまにはタミヤを一緒にやっています。
女性は化粧が得意ですから、フィギュア担当です(笑)

今回の冒頭の文章は、文学少女YUMIが書いたものです。
彼女は「存在の耐えられない軽さ」の本も映画も好きみたいです。

ティーガー戦車とタイガー戦車、どっちもありですが、
やっぱり響きから考えると、「ティーガー」のほうがすきです。

ゴジラ、楽しんで来ましたか?
今回の監督はゴジラの大ファンで、上出来でしたか?
違う話ですが、子供のごろ恐竜戦隊コセイドンを見たら、
探検ごっこで工事現場に潜入して、
石を運ぶベルトコンベアから人間大砲のマネをしました。
バカでしたが、楽しかったなぁ~、あのごろ(笑)

No title

戦争もいじめも犯罪も
あってはいけないものなんです
ないことが望ましいのです

でも それを避けられず 防げない
やめられないのが 人間なのかなぁって
珍しく哲学的な表現になってしまいました

もうタイムマシン つくるしかないですね

Re: No title

wakaさん
「歴史は繰り返す」という格言がありますように
嫌なことでも避けられないのは私たちの宿命ですね。
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